第3四半期までの業績は?
宝子さん、入社おめでとう!4月から晴れて当社の一員ですね。会社にはもう慣れましたか?
若松部長、ありがとうございます!
入社前から若松部長にいろいろ教えていただいていたので、もうずいぶん前から宝印刷にいたような気がしますが、会社の一員として1日も早く戦力になれるよう頑張ります!
今日は第3四半期までの業績ですよね。どうぞよろしくお願いいたします。
よーし、今回も張り切っていきましょう!では決算短信を見ていきましょうか。
売上高は前年同期比3.6%増、利益は0.9%減、4.3%減、最終的な利益は4.1%増と、売上高と最終的な利益がプラスなのは第2四半期と同じですね。
製品区分別の売上高でいえば、金融商品取引法関連製品以外は前年の第3四半期に比べて増加しています。
金融商品取引法関連製品というと、有価証券報告書や目論見書などにあたる区分ですよね。前回のお話では確か社債の発行が増えたために目論見書の売上が減少しているとおっしゃっていましたが、それが引き続き影響しているのでしょうか。
おっ、だんだんと分かってきたね。その通り。
前期は大型のIPO案件など、当社に良い材料がそろったこともあり業績も過去最高となりました。当期は前期ほど売上・利益を底上げするような一時的な要因はないのですが、一人ひとりの地道な営業努力もあり、現時点で前期ベースの最終利益を維持しています。
決算となる5月末まで、業績予想の達成に向けて引き続き邁進しなくてはね。
私も早く先輩方のように会社に貢献できるようになりたいです!
そうそうその調子!まずは上司や先輩の言うことを一生懸命にやってごらん。そうするとおのずと結果はついてきます。期待しているよ!
キャッシュ・フロー計算書って?
そういえば、宝子さんは先日初任給が支給されましたね。何かに使ったの?
はい、今までお世話になった両親に食事をごちそうしたのと、ちょっとしたプレゼントを渡しました。
それはご両親もきっと喜んだでしょうね。
私はというと、さかのぼることウン十年前、初任給で同僚たちに調子よくごちそうしていたら、一晩でほとんどスッカラカンになってしまい、次の日からどうやって生活しようかと途方に暮れた思い出があります(笑)
そ、そうなんですか…!若松部長にもそんなことが…。
その点、今の若い人たちはお金の使い道をしっかり考えていてエライね。
お金の使い道といえば、宝子さんはキャッシュ・フロー計算書の見方はもう知っていますか?
キャッシュ・フロー計算書…。決算短信で開示されていることは知っているんですが、これが何を表すものなのか、まだ理解できていないです。教えていただけますか?
では説明すると、キャッシュ・フロー計算書とはその名の通り、キャッシュ(現金及び預金)のフロー(流れ)を見るためのもの。
企業は事業活動において、キャッシュを介した様々な取引が発生します。たとえばどんなものがあると思う?
商品を売る、原材料を仕入れる、ということでしょうか。
そうだね。ほかにはたとえば会社が宝子さんに給与を支払う、株主の皆様に配当金を支払うということもそうです。このように事業活動において、キャッシュがどこから入ってきてどこへ出たかを表したものが、キャッシュ・フロー計算書です。
キャッシュ・フロー計算書は大きく3つの区分に分かれているのですが、どれかわかるかな?
ええと、「営業活動によるキャッシュ・フロー」「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」に分かれています。
そうだね。営業活動によるキャッシュ・フローは、本業で稼いだキャッシュと、本業を営むために必要な原材料の仕入れや人件費の支払いなどで出ていったキャッシュとの増減を表したもの。
また、投資活動によるキャッシュ・フローは、現在および将来の事業活動のために必要な投資、すなわち設備投資や企業の買収などにともなうキャッシュの増減を表していて、財務活動によるキャッシュ・フローは借入や返済、配当金の支払いなどにともなうキャッシュの増減を表しています。
なるほどなるほど…(メモメモ)
さらに営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計したものを「フリー・キャッシュ・フロー」といい、これが多いということは自由に使えるキャッシュが多いということ、つまり金融機関からお金を借りずに、事業の拡大などに投資できる余裕があるため、一般的には経営状態が良いというふうに判断されます。多くの投資家が見るポイントのひとつです。
キャッシュ・フロー計算書から、キャッシュの使い道や企業の経営状態まで分かるんですね。
そうです。企業が本業で稼ぐのはもちろん、将来の事業活動継続のための投資が必要なように、宝子さんも給与をただ使ったり貯めたりするではなく、将来の自分自身のために投資することも大切ですよ。社会人になっても常に勉強は必要だし、見聞を広めるいろんな経験や人脈づくりなどに投資してごらん。きっと今後の人生の財産になりますよ。
もちろん、一定額は貯蓄するようにね!
はい!分かりました。今回もありがとうございました。
おさらい
- 第3四半期までの売上高、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比でプラス。
- キャッシュ・フロー計算書は、事業活動においてキャッシュがどこから入ってきて何に使ったかを示したもの。フリー・キャッシュ・フローが多いほど、企業の経営状態が良いと判断できる。
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