予算策定とは?重要な理由と実施プロセス・成功の重要なポイント

“予算策定”は企業の経営活動に重要な役割を果たします。一定期間の売上や経費の目標を設定し、その達成に向けて計画を立てることで、経営資源の最適な配分が可能です。一方で、適切な予算策定ができなければ、資金の使い方が不透明になり、財政的な困難に直面するリスクがあるでしょう。本記事では、予算策定の基本から成功のための重要なポイントまで詳細に解説します。

予算策定とは

“予算策定”とは、一定期間における企業の収入と支出の計画を立て、資金の配分を決定することです。経営目的に基づいて予算の計画を立てることで、限りある経営資源を最大限に活用しやすくなります。策定した予算は、事業活動を円滑に進めるための指針となり、迅速な情報共有や意思決定に役立ちます。

予算管理の重要性

予算策定の目的は、経営資源の有効活用と収益性の向上にあります。企業のヒト・モノ・カネといった経営資源は限られているため、実態に即した予算を策定し、リソースの無駄を排除して効率的に投資することが不可欠です。

企業と従業員の方向性を一致させるためにも、予算策定は組織全体の目標設定として活用されます。また、現在のビジネス環境は変化が急速で予測が難しいため、予算策定はリスク管理の手段としても重要です。

「予算管理」との違い

予算策定と似た用語に“予算管理”がありますが、予算策定とは業務範囲が異なります。予算管理とは、策定した予算の執行状況を管理し、目標値と実績値の差異を分析することです。つまり、予算策定は予算管理の第一歩となります。予算管理を実施することで、経営課題の早期発見と適切な経営判断が可能です。なお、予算管理については次の記事をご参考ください。

予算管理とは何を指す?手順・注意点と効率化に役立つツールを解説

予算策定を実施するメリット

企業が予算策定を適切に行うことは、経営の健全性を確保し、戦略的な目標達成に向けた強力な基盤を作るための重要なステップです。適切な予算策定を行うことで、企業は次のようなメリットを享受できると考えられます。

経営資源を最適に配分できる

企業が成長を続けるためには、収益性の高い事業やプロジェクトにリソースを投入することが重要です。予算策定を行うことで、経営資源の無駄遣いを把握すると同時に、重要性の高い分野に経営資源を配分できるようになります。限りある経営資源を効率的に活用するための指針として、予算策定が重要な役割を果たします。

経営改善につながる

予算策定は企業の収支を計画的に管理し、財務健全性を維持するために欠かせません。財務状況を適切に把握し、支出を予算内で収めることができれば、過度な借入れを避けることができます。予算策定を行ったうえで、毎月または四半期ごとにキャッシュ・フローの予測を行うことで、現金不足や資金繰りの悪化を未然に防げます。

企業の目標を設定できる

予算策定は企業の戦略的なビジョンを実現するための手段でもあります。予算策定時に売上や利益の目標を設定することで、その達成に必要な戦略を立てやすくなります。また、予算管理と組み合わせてKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定し、進捗状況をモニタリングすることで、予算との差異が生じている部分について早期の軌道修正が可能です。

リスクの予測と管理ができる

企業が直面する可能性のあるリスクを事前に予測し、適切な備えをするために予算策定が役立ちます。予算策定を行う段階で、為替や金利などの不確実性や市場の変動を分析しておけば、柔軟なリスク対応が取れるようになります。

例えば、予算に予備費を設定しておけば、想定外の支出に備えておくことが可能です。企業のリスク耐性を高めることは、財務的な課題の悪影響を最小化し、持続的な成長を実現するために欠かせません。

ステークホルダーとの信頼関係を構築できる

予算策定は、株主・投資家・取引先・従業員などの“ステークホルダー”との信頼関係を築くためにも重要です。企業が予算を適切に策定し、計画どおりに経営を進めていることを示すことで、投資家に安心感を与えて投資意欲を高めることができます。

また、取引先に対しても企業の信頼性を示し、長期的なビジネス関係を構築しやすくなります。社内のステークホルダーである“従業員”についても、組織の共通目標として予算の達成を掲げることができるため、エンゲージメント向上施策としても効果的です。

競争優位性の確保につながる

予算策定は、持続的な成長を実現する基盤にもなります。例えば、新たな事業を始めるための投資や、新製品開発・技術革新に向けた予算配分を行うことで、将来的な競争優位性の確保につながります。

予算策定の手順・流れ

予算策定は一般的に次のような手順で実施します。

ステップ1:企業の目標を設定する

予算策定の最初のステップは、企業全体の目標を明確に設定することです。目標設定は企業の戦略に基づいて行われ、売上・利益・コスト削減など、さまざまな項目が考慮されます。目標によって必要なリソースや配分方法が変わるため、目標を明確にすることが重要です。

例えば、企業が「売上を10%増加させる」という目標を設定した場合、営業活動の強化やマーケティング費用などが予算に反映されることになります。目標達成に必要なリソースを明確化することが、予算策定の出発点です。

ステップ2:部門別の予算を策定する

企業全体の目標を設定したあとは、達成に必要な予算を各部門に割り当てます。例えば、営業部門・マーケティング部門・研究開発部門・総務部門など、各部門の活動内容に応じて予算が決定されます。

各部門の担当者が計画に基づいて予算を提案し、経営陣と調整しながら最終的な予算を決定します。例えば、営業部門では営業活動にかかる人件費や出張費を予算化し、マーケティング部門では広告費用・市場調査費用・新商品開発に関連する経費を盛り込むなどです。

ステップ3:企業全体の予算を調整する

部門別に作成した予算案を調整し、企業全体の予算を確定させます。企業目標と一致しているかを確認したうえで、各部門の予算配分のバランスを取ります。調整の過程では、優先順位をつけてリソースを最適に配分することが重要です。

例えば、営業部門とマーケティング部門で予算の競合があった場合は、企業目標への貢献度が高い活動を優先します。営業活動の強化が売上増加に直結するのであれば、マーケティング予算を多少削減して営業予算に回すなどです。ただし、現場の反発を招くおそれがあるため、経営陣と各部門の責任者で合意形成を図りながら丁寧に進める必要があります。

ステップ4:予算の承認と共有を行う

企業全体の予算案が決定したあとは、経営陣や取締役会の承認を経て、最終的な予算が確定します。そのうえで各部門に予算を共有しますが、予算策定の背景を丁寧に説明し、現場がその目的や戦略を理解することが重要です。予算が単なる数字の羅列ではなく、企業戦略を支えるものであることが周知されることで、組織全体の意識統一が図られます。

ステップ5:予算を実行・管理する

予算の承認・共有後は、実際に予算を執行して進捗状況を管理する“予算管理”へ移ります。計画と実績値の差異を定期的に比較・分析し、必要に応じて予算・施策の調整と軌道修正を加えます。例えば、営業部門のコストが当初の見込みよりも高くなっている場合、コスト増加の背景を調査したうえで、業務の最適化などの対策が欠かせません。

予算策定の手法

予算策定は次のいずれかの手法で実施します。

トップダウン方式

経営陣が中心となって予算を策定し、各部門に展開する手法です。企業目標や戦略をもとに全体の予算を作成してから、各部門に割り当てます。経営陣のビジョンに基づく一貫性のある予算策定ができ、短期間で予算を策定しやすいことがメリットです。一方、現場の声が反映されにくいため不満が生じやすいことや、実態に即さない予算になりがちな点がデメリットです。

ボトムアップ方式

各部門が必要な予算を提案し、それをもとに全体の予算を策定する方式です。部門ごとのニーズや実態に基づいた予算を策定しやすいことや、予算の実行性が高くなることがメリットです。一方で、組織全体の調整に時間がかかる点や、企業目標に沿わない、もしくは過剰な予算が組まれるリスクもあることがデメリットです。

折衷方式

トップダウン方式とボトムアップ方式の要素を組み合わせた手法です。経営陣が大まかな予算の枠組みを決定し、その範囲内で各部門が具体的な予算案を提案します。その予算案を上層部が調整して最終的な予算を決定します。

経営陣の戦略と現場の実情をバランスよく反映できる点がメリットです。ただし、予算策定が複雑化して時間がかかることや、部門間で意見の食い違いが生じ、調整が難航しやすい点がデメリットです。

実現性の高い予算策定を行うためのポイント

実現性の高い予算策定を行うためには、次のポイントを意識することが重要です。

現実的な予算を策定する

予算目標は具体的で、かつ達成可能なものでなければなりません。売上目標・利益目標・経費削減目標などが過大であれば実現が難しくなり、達成が容易すぎると現場のモチベーションが低下します。市場の動向や業界のトレンドを調査し、外部環境を反映した目標設定を行うことが重要です。

過去のデータを活用する

実現性の高い予算を作成するためには、過去データの活用が有効です。過去の実績やトレンドをもとに予算を組むことで、現実的な数字を設定できます。例えば、過去3〜5年の実績から売上高・コスト・利益・部門別の支出状況などを分析し、季節的な変動や経済のサイクルを踏まえて予算を調整することが効果的です。

部門間の連携を強化する

予算策定においては、部門間の協力とコミュニケーションが欠かせません。部門のリーダーや担当者と連携するために定期的なミーティングを行うことで、社内コミュニケーションの基盤を構築できます。各部門の担当者が連携できれば、必要なリソースや支出計画を適切に把握し、企業目標の達成に向けて方向性を一致させやすくなります。

予算に柔軟性を持たせる

外部環境の変化や突発的な事象により、予算が計画どおり進まないことがあるため、次のような点を意識して、予算に柔軟性を持たせることが重要です。

予備費の設定 予算に予備費を組み込み、想定外の事態に対応できるようにする
定期的な調整 四半期ごとなど短期スパンで予算を見直し、必要に応じて調整する
緊急時の計画 予算策定時に、万が一のリスクに備えた対応策や代替案を検討しておく

ITシステムを導入する

予算策定には、各部門の情報を収集して管理する必要がありますが、担当者の業務負荷や人為的ミスの発生リスクなどが課題になりがちです。予算管理システムを導入することで、各部署やプロジェクトから収集したデータを一元管理できるため、業務効率化とミスの防止を両立できます。

さらに、データや実績をもとにしたシミュレーションが可能なため、複数の予算案を比較できます。データをスムーズに共有できるため、担当者間での調整が円滑になり、予算策定の期間を短縮できるなどの効果も見込めます。

予算策定・予算管理の効率化は宝印刷株式会社へ!

予算策定を実施することで、企業の経営資源を最適に配分し、経営改善につなげることが可能です。実現性の高い予算策定を行うためには、過去のデータを活用することや、部門間の連携を強化することが重要です。予算管理システムなどのITシステムを導入することで、予算策定業務を効率化し、データに基づいた経営判断の基盤を構築できます。

宝印刷株式会社が提供する“WizLabo Budgetは、クラウドベースのプラットフォームと豊富な機能で、予算策定・予算管理を効率的にサポートします。各部門からのデータ収集はWeb上での簡単入力で完結し、集計作業も自動化されるため、従来の手作業から解放されます。

さらに、“WizLabo Budget”で作成した予算データは、上位プランである “WizLabo” とのシームレスなデータ連携が可能です。部門横断的なデータ管理と分析を実現し、より高度な経営判断を支援します。予算策定・予算管理の効率化やデータ活用でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。