【連載:ひとりIR担当が活用する本当の実務 #1】出版記念セミナーの盛況から浮き彫りとなった「IR担当の孤独」と、宝印刷が今ノウハウを発信する理由

本連載は、IR現場の実務課題を解決し、担当者が組織で真の価値を発揮するための思考法やノウハウをお届けする新企画です。

第1回は、2026年7月に開催した書籍『IR担当の仕事術』出版記念セミナーの反響を踏まえ、なぜ今IRの実務ノウハウが強く求められているのか、その背景を解説します。

今後、この「タカラコンパス」にて、宝印刷が日々多くのお客様とお会いする中で共有いただいた課題を紐解きながら、執筆者・神山自身の約18年に及ぶIR実務経験を掛け合わせ、現場で即実践できる業務ノウハウのエッセンスをご紹介してまいります。超大企業の強靭なIRからIPO前後のひとりIRまで、様々な業界での実務・マネジメントを経験してきた成果を、読者の皆様に還元します。

最大級の来場者数と熱気が証明した、IR実務ノウハウへの高いニーズ

書籍『IR担当の仕事術』の出版記念セミナーは、これまでに当社が開催してきたIR向けセミナーの中でも、最大規模のお客様にご来場いただく大盛況のイベントとなりました。

「孤独なIR担当」に求められる役割と未来とは? 『IR担当の仕事術』出版記念セミナーで語られた、これからのIR実務

会場には人員や予算などのリソースに制約を抱えながら開示実務に向き合う多くの担当者様が集まり、具体的な実務ノウハウへのニーズを肌で感じる機会となりました。また、スタンダードやグロース市場だけでなく、プライム市場の企業からも幅広くご参加いただいたことは、市場区分を問わず多くのIR担当者が共通の課題を抱えている証左と言えます。

各講演の最中、参加者の皆様がスクリーンや手元の資料を見つめながら、非常に熱心にメモを取られている様子が強く印象に残っています。(私のような)実際の現場経験者や、東京証券取引所様をはじめとする専門家の観点から語られる「生の実務情報」こそが、今まさに現場の担当者から強く求められているのだと痛感しました。

こうした熱気あふれる反応を目の当たりにして、実務に即した高解像度なノウハウの提供は、上場企業のディスクロージャーを長年支えてきた当社宝印刷だからこそ向き合うべき領域、果たすべき責務であると、改めて確信しています。

交流会で吐露された「IR担当の孤独」と、言語化が生んだ共感

セミナー直後に開催された来場者の皆様との交流会において、参加者の方々から最も多く寄せられた声、それは「IR担当の孤独」についてでした。

就業人口に対して約0.015%しか存在しないマイナーな職種であるIRは、社内にロールモデルや相談相手がおらず、正解の分からないまま重い開示責任を一人で背負いがちです。

交流会やその後の顧客対話の中で、「これまで抱えていた原因不明の焦りや不安が、『IRの孤独』という言葉で明確に言語化されたことで、自分の悩みの本質がどこにあったのか腑に落ちた」という感想を多数いただきました。

講演や書籍でもお示しする通り、IR担当者が孤独に陥りやすい、その根本的な要因は以下の5つに集約されます。

  1. 重い開示責任
    たった一人、あるいは少人数で情報開示の全責任を背負う
    一つのミスが上場維持の危機を意識させる、強烈なプレッシャー
  2. 市場への主要な窓口
    巨大な資本市場に対する主要な窓口として、投資家からのあらゆる要求に対し、常に会社を代表して判断・対応しなければならない
  3. 業務の属人化
    動かせない開示期限に向けて立ち止まることができず、自分以外に実務を回せる人がいないため、休むことも引き継ぐこともできない
  4. 全体戦略の欠如
    IR戦略の指針を示してくれるマネジメント層がおらず、目の前の実務をこなしながら、自ら戦略と戦術を考え出さなければならない
  5. 社内理解とノウハウの不足
    IRの価値や重責を理解しサポートしてくれる人が社内にいない上、世の中を探しても実務に即したノウハウは得られにくい

「IRの孤独」が、漠然とした不安や焦りであるうちは対処のしようがありませんが、個別の課題として言語化されれば、それは「解くべき具体的な問い」へと変わります。

自身の置かれた立場を客観視できたことで、不安から具体的検討へと認識のシフトが起こり、解決に向けた次の一歩を踏み出すきっかけとなったようです。

なぜ今、宝印刷が「IR担当者の仕事を考える」ノウハウを発信するのか

当社宝印刷は約70年にわたり、IPO・上場企業様のディスクロージャーとIR業務を総合的にサポートしてまいりました。

日々多くのお客様とお会いする当社だからこそ、サービスのご提案にとどまらず、担当者の皆様のお役に立つ実務ノウハウを積極的に発信していくことには大きな意味があると考えております。

当社がノウハウを皆様に対して発信するうえでの強みは、以下の4点に集約されます。

  • 宝印刷は、日本の上場企業の約半数と、長年にわたる継続的な接点を持っている
  • 営業やサービス部門のスタッフが日々お客様と会話する中で、現場の切実な「お困りごと」をいち早く把握できる
  • IRの実務を深く理解・経験した専門人材が社内に在籍しており、販売サービスの手前にある純粋なお役立ち情報として、質の高いIR実務ノウハウを提供できる
  • 本オウンドメディアをはじめ、セミナー、メールマガジンなど、多彩なメディアを通じてタイムリーにお客様へお届けできる

日々の実務に直結するTipsを定期的にお届けすることで、日本のIR担当者の皆様が直面するお困りごとを解消する伴走者でありたいと考えております。

今後の連載テーマと「ひとりIR」の皆様へのメッセージ

本オウンドメディアのIRカテゴリでは、書籍『IR担当の仕事術』で提示する視座や実務のフレームワークをベースにしながら、連載形式で具体的なノウハウ、方法論、思考法のエッセンスを提供してまいります。

大企業の潤沢なリソースを前提とした理想論は避け、人員や予算が限られた現場でいかに効率的に業務を回し、存在価値を高めていくかという実践的な仕事術、ノウハウ、思考法に絞り込んでご紹介していきます。

 IRという仕事は過酷ですが、企業の「大きな物語」を自ら設計し、社会に自社、そして自分の業務価値を刻み込める非常に魅力的な職種であると、私は確信しています。

本連載が、皆様の日常業務の負担を減らし、プロフェッショナルなキャリアを歩んでいただくための確かな道標となることを願っております。

まとめと次回予告

【まとめ】

「IR担当の仕事術」出版記念セミナーの盛況は、IR実務ノウハウへの潜在的な高いニーズの存在を浮き彫りにするものでした。

宝印刷は、日々お客様からいただくお困りごとに応えるべく、孤独なIR担当者が全社を巻き込む「全権大使」として活躍するためのノウハウを、このオウンドメディア「タカラコンパス」の連載で、継続発信してまいります。

【次回予告】

次回(第2回)は、「IR担当者が最初に身につけたい基礎と実務環境」をお届けします。

着任直後に整えるべき仕事のスタンスと、業務を回すためのスキル、業務を効率化するためのツール活用などについて解説します。

 

◆書籍のご案内

『IR担当の仕事術 資本市場と経営陣の信頼を得る全手法』
出版社:中央経済社
編著者:神山 光  著者:片桐 さつき

内容:投資家と開示に向き合うIR担当者向けに「実務を掌握し、開示に全社を巻き込むノウハウ」を軸にご提案する、実務者必携の一冊。特に、日本の上場企業では大半を占める「ひとりIR担当」のサポートにフォーカスし、いかに会社組織に根付き地位を確立するか、さらにひとりIRからチームの組成に挑むためのメソッドまで、多様なIR経験に基づく幅広いノウハウを提供。全国の書店で販売中。

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